早く帰って遊びに行きたい

7、8年前のことだ。久しぶりに会ったニュージーランド人の知り合いが職場を変えたという。職場に不満があるわけでもない。日本で言えば東京から名古屋の距離くらいの引っ越しを伴う。そうまでして生活を変えたかった理由は何かと聞いてみると、「新しい家の裏山に最高のマウンテンバイク・トレイルがあるからさ」と教えてくれた。そういう理由で生活環境を変えることが、自分には物珍しく見えた。
最近見た動画で、そのニュージーランドの生活ぶりが紹介されていた。彼の地では、少なくない人が大きな庭がついた家に住み、週末にはその庭でバーベキューを楽しむ。同じ庭で、夜には明るいうちに仕事を終えて帰宅してワインを楽しむ。蛍光灯の下で仕事をしているより、オープンエアで自分の心が豊かだと感じる活動を優先したがる。みんながみんなそういう生活をしているわけではないだろうけれど、一つの典型的なイメージとして、頷けるところである。

自分が訪れたことがある多くの国で、似たような景色を見た。土地が広い。人口が過密でない。人生の優先順が仕事にはない。自然や家族を重視する。必然的に仕事は早く終えて、家で過ごす時間を最大にできるように生活を工夫している。それなのに、GDPで比べれば日本よりも豊かな国が多い。端的に言えば、日本ほど長時間労働しなくても、豊かな生活を営む方法はたくさんあるということが、世界のあちこちで証明されているということだ。

そんなことを考えながら、午後も3時を過ぎると、職場を抜け出し家に帰りたくてソワソワし出す。あれもやろうか、これもやろうかと考え出す。人生は短い。歳を重ねるにつれてやるべきことはどんどん増えていく。やりたいことも同じように増えていく。無駄なことをしている時間はない。遊びにうつつを抜かして、何が悪い。

iPhone 14 Pro

コメントを残す